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2014年08月05日

ダレノモノ?  五十七

『判別』
 時計を確認すると、もう八時を回っていた。あの子が遅れるのはいつものことなので、別に気にはしない。それよりも気になるのは、昨日の昼ごろにあの子から届いたメールの内容だ。あの子らしいと言えばあの子らしいが、そんなもの落とすなよ、とは思う。
「ごめーん、おまたせー」
 そんなことを考えていると、あの子が右手を振りながら走って来た。
「おい、ただでさえセーラー服にリュックサックなんて目立つ格好なのにそんな手を振るんじゃねぇ。なおさら目立つだろう」
 近づいてくるあの子に向けて言った。あの子は自分の言動がとにかく目を引くことに気が付いていないのだ。あの子は私のそばに駆け寄ると、何の屈託もない笑顔を見せた。相も変わらず能天気だ。
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2014年08月05日

焼き鳥探偵刑事風  ベイちゃん先生

犬が幼女に誘拐される事件

 十一月十一日、レッドブル駅前のレオパレスの一室で、焼き鳥探偵刑事風はチラシ配りの為に外に出ようと刑事風のスーツを着た。玄関の扉を開けると雨だった。雨だと外に出る気にならない。それは刑事風に限った話ではない。歩行者が少ない。歩いている人も傘を差している。手に持ったチラシはA4用紙五百枚ほどだ。濡れるに決まっている。適当な対策をしたところで端っこがフニャフニャになる。困った。と刑事風は思った。
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2014年08月05日

授業中は窓の外を見てます  沖合 里歩

精液を飲んだ後にはワインより炭酸水が飲みたくなるの

少年の鼻緒によって開かれたいつもはぴたと閉じられたそこ

初恋の人にゲイだと打ち明けて返った言葉「病的なもの!?」

あこがれるお前はどこに住んでいるあのスカートをめくってみたい

角砂糖つまんだ刹那通る君過ぎるころにはべたべたな指

2mのプレパラートを作ってくれ少年を観察するために

ワイシャツが肩の口までまくられた日焼けの腕にセミが鳴いてる

マジパンを水に溶かして飲む味は精液の味にきっと似ている

登校を見送りながら考える首を絞めたらどんな目するか

鳴り続けるケータイ眠り続ける君におうあざみ生き続ける俺

ろうそくの垂れるザクロを骸骨が食べていいかと聞いてくるので

吹き抜ける風の涼しさ打ち寄せる波の優しさ私は阿修羅

サッカリンの夜は来ようふさふさの雪のベッドに瞳閉じれば

落ちたいと願う自分が怖くって窓枠にぎり街を眺める

  


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2014年08月05日

ねえ、ねえ、ねえったら  沖合 里歩

目に見えるものすべてきらきらしてる ああ私またすごく生きたい

サッカリンみたいな眠りむさぼって落っこちて行くあたしと単位

借り切ったプールで二人泳ぎたい私と僕が溶け出て混ざる

浴室の鏡に首のない体 にじむ灯りが胸に落ちてる

めいっぱい腕を伸ばして撮ったからみんな愛して細切れの顔

血を流さない少年に生まれたい これで2ヶ月生理が来ない

むかしむかし切った小指をもう一度切るために研ぎ音を聞いてる

ちゃんと噛むあなたの肉にやき過ぎて少し余計に焦げ目が残る

夕闇の小舟に架ける紅色の梯子みたいね手首を伸ばす

ほら見てよあなたの白い体液が赤く変わって流れ出すのを

汗を舐めていれば馬鹿でいれるから穴のある人形でいさせて

歌詞のない曲を流して跳ねようよ 酒と薬と血! 酒と薬と血!

ははははははははははははははははははははははははははははははは

あたしのうでにおっぱいにだいだいのもうどくきのこはえてきてるの

やだやだやだ 一生私を覚えてくれるんじゃなきゃ私を見ないで!

拳銃で脳天をぶち抜いたってそんなの使い古しの茶番

空を見て落ちてくる鳥などいないみんなもう死んでしまったんだ
  


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